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2. 求人登録

 履歴書、カバーレターが完成したら、ようやく次のステップだ。アメリカのジョブマーケットに殴り込みしよう。ボコボコに返り討ちに遭うと思うが、とにかく飛び込んでみようではないか。恐らくあなたはここでスタックすることになるだろう。というのは、次のステップである面接に進むのは並大抵のことではないのだ。日本ではエントリーすれば大抵面接には進めるが、大量の面接の過程で振り落とされていく。最低限の学歴があれば、書類選考には通るものだが、アメリカでは事情が違う。「面接に行く」のが大変だ。俺は265社に対して応募した訳だが、電話面接に進めたのも8社、そのうち対人面接に進めたのはたったの3社だ。したがって、当面の目標は面接に行くことが最大の目標となる。それではまず何から始めるかということだ。 基本的に、企業とのコンタクトはプルもしくはプッシュによって開始する。プルとは企業から自分への受動的なアクセス。餌をばら撒いておくのだ。一方、プッシュとは自分から企業への能動的なアクセス。応募あるのみだ。ここで一つ日米の違いとして重要なことを言っておくがアメリカではこのプルが圧倒的に多い。(日本では「スカウト」という言葉を使うことが多い。)現に、俺が入社した企業も含め、パナソニック、ホンダアメリカ、アマゾンに加え、相当数の企業、リクルーターから連絡があった。自分から応募した中で面接に至った企業は、クアルコム、上海HP、GE、日系企業の4社のみだ。プルとプッシュの2つに分けて解説する。


2-1. 求人サイトへの登録

 王道でかつ最も強力な手段だ。4つのメジャーな求人サイトを紹介しておく。これらは絶対に使おう。


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1 Dice http://www.dice.com エンジニア専門だ。分野外の仕事がない分、クリーンでやり易い。エンジニアのあなたはここを主戦場にしよう。
2 CareerBuilder http://www.careerbuilder.com 言わずと知れた最大手。
3 Monster.com http://www.monster.com 言わずと知れた最大手。
4 Yahoo! hotjobs http://hotjobs.yahoo.com CareerBuilder、Monster.comと比べるとやや落ちるが、大手。

 上記4サイトに(1)で作成した渾身の履歴書を早速登録しよう。必ずレスポンスがあるはずだ。カバーレターは登録可能だが、しなくて良い。あなたは複数のテンプレートがあるし、そもそも企業、ポジションによってカスタマイズするのがカバーレターであるから、汎用版なんてなくて良い。履歴書を登録したら、企業からもリクルーターからも検索可能なように設定し、門戸を開放しておこう。それから、Job Alertを登録しておくこと。これは一定間隔でキーワードで検索し、メール配信してくれる機能だ。俺の場合最強の武器"Japanese"で登録している。さて4つのメジャーの求人サイトが終わったら、自分でぐぐってその他準メジャーサイトにも登録しておくとよい。俺の場合、以下のサイトを利用したが、この手の奴は無限にある。可能な限り登録しておくことを勧める。


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1 indeed http://www.indeed.com このサイトが他と違うのは上記求人サイトを全てカバーするだけでなく新聞や各会社の仕事欄も全て網羅していること。メジャー求人サイトと合わせて使用すれば強力。これで世界の果てまでハイエナのように隈なく探し回れる。ただしIndeedの検索機能はシンプル過ぎて(全て文字列検索!)使いづらい、履歴書はアップ出来ずプルには使えない等の問題有。
2 computerjobs.com http://www.computerjobs.com Diceと同じくIT系専門。履歴書のアップは可能。
3 College Grad.com http://www.collegegrad.com 新卒のエントリーレベルをうたっている。履歴書のアップは可能。
4 Jobfox http://www.jobfox.com 使い勝手が独特。とかく金を払わせようという仕組みがウザったいが無料でもある程度使用出来る。履歴書のアップは可能。俺が入社した会社から内定を勝ち取るきっかけを与えてくれた。
5 HotResumes.com http://www.hotresumes.com 履歴書のアップは可能。Job.comと提携しているみたいだ。
6 Juju http://www.job-search-engine.com indeedに対抗している。操作性は似ているが、仕事のカテゴリを指定出来る分、実はindeedより使い易かったりする。履歴書はアップ出来ない。
7 LocalHires http://www.localhires.com 地域毎にサイトが存在する。履歴書のアップは可能。ジョブフェアー情報は有用だ。
8 VentureLoop http://www.ventureloop.com 履歴書のアップは可能。
9 InsideTech http://insidetech.monster.com IT系専門。履歴書のアップは可能。Monster.comと提携しており、アカウントを連携させることも出来る。
10 Beyond.com http://www.beyond.com 履歴書のアップは可能。
11 Job.com http://www.job.com 履歴書のアップは可能。
12 TechnologyLadder http://technology.theladders.com とんでもなく高給な仕事もたくさん載っている。履歴書のアップは可能。金を払えばリクルーターとコンタクトを取ったり検索されたり出来るようになるらしい。
13 Jobs.com http://www.jobs.com 履歴書はアップ出来ない。
14 Expert Executive Recruiters http://www.expertexecutiverecruiters.com 履歴書のアップは可能。サイトの品質は低い。

 これら以外にも求人サイトは多く存在する。登録すればする程リクルーターや企業に対する露出度は増えるから、出来るだけ信頼出来るところ、品質の高いサイトから登録しまくろう。


2-2. 人材会社への登録

 人材会社とは企業と我々求職者の間に入って、仕事の紹介をしてくれるか(人材紹介)、派遣してくれるか(人材派遣)の会社である。人材紹介の場合は結局企業と求職者が直接契約を結ぶ訳で、所謂正社員となる。人材派遣の場合は自分に取っての雇用主は企業でなくて人材会社となる。働く先がその企業という訳だ。どちらがいいって、人材紹介の方がいい。要は普通の契約だから。人材派遣の方は人材会社が中間に入ってピンハネしている訳だからその分給料も低くなる。年棒でなく時間給で支払われることが多く、ビザのサポートも通常ない。保険などのベネフィット(福利厚生)もない。企業側から見れば、一年といったコントラクトで派遣を受け入れる方が人材が使えなかった場合に切り易い。逆に使えればそのとき初めて直接契約に乗り換えればよいのだ。という訳で、派遣は少し抵抗があるのだが、外国人がアメリカの不況時代を生き抜くのにぜいたくは言っていられない。オファーを貰い揃えてから悩むように。機会があれば何でも応募すること。日本人に取っては派遣は女性のもの、という意識が強いがここアメリカではもっと一般的だ。それから、人材会社に支払う費用はない。普通は無料だ。人材会社はマッチングが成立したときに企業側から手数料を貰う。我々仕事すらない貧乏人からは金を取らないから、利用出来るだけすれば良い。


2-2-1. 米系人材会社、リクルーター

 アメリカにはこの手の会社やリクルーターが星の数程ある。日本より人材流動が柔軟だからだ。自分でぐぐってみて登録するのもいいが、無限に有り過ぎて意気消沈するからやめよう。個別に調べなくても後述する応募作業の中で結局人材会社に応募することになるから心配しなくていい。それに、履歴書配信という手もある。


2-2-1-1. 履歴書配信

 星の数程ある人材会社にいちいち登録なんて出来ないという事情から、アメリカでは履歴書配信という仕組みが出来あがった。有料のものと無料のものがあるが、無料のものは配信先がせいぜい数百程度だ。効果的に配信するためにも、有料のものを使おう。先に紹介した履歴書添削サイトや求人サイトの一サービスとして組み込まれている場合もあるし、独立系のものもたくさんある。俺の場合結局大した効果は得られなかったが、重要なことはやれるだけの全ての策を実行する事である。仕事をゲット出来ればペイすると信じて、一つは試してみよう。一番俺の目に付いたのはResumeSpiderというサイト。このサイトが一番しっかりしているようだ。俺はResumeSpiderを知る前にTheRecruiterNetwork.comというサイトに出くわしたのでこちらを使用した。俺のプロファイルに合致する人材会社・リクルーター4,017社に履歴書が送信され、$109.95支払った。インターネット上には無料のものもあるからいくつか使ってみると良い。アドバイスとしては、件名、表題を付けるところがあれば、分かり易くすること。俺の場合、"Japanese - Bilingual Senior Systems Engineer"という表題にした。自分の市場価値を高める為に、「日本語」という武器を前面に押し出そう。


2-2-1-2. ヘッドハンター

 日系は会社組織が多いが、アメリカは一人で活動するフリーランサーが多い。中でも高給でハイクラスの会社を専門にしている人達をヘッドハンターと呼んでいる。ではこういった人達にどうやって知り合うのか。一流のヘッドハンターと知り合い、超一流企業(マイクロソフトとかオラクルとかヤフーとか)の仕事を紹介して欲しい。しかしこれは正直相当難しい。英語が第二外国語である俺達にとって、所謂"Networking"という作法も知らない俺達純ジャパニーズにとって、一流大学のPhD取得者でもなければMBA保持者でもない俺達凡人にとって、どうやって食い込んでいくか。簡単な答えは、今は無理だということだ。OPT保持者に取って、卒業後グレースピリオドの二ヶ月を除けば全部で90日間しか就職活動時間は認められていない。限られた時間で出来ることは多くない。現実的な解は、最初からホームランを打たずに一旦自分の出来るだけのことをやって、ビザや収入といった地位を安定させた上で、ゆっくり次を狙うということだ。そもそも、日本の有名大学や大企業なんて日本ではそれなりに評価されても、アメリカでは「何ですか、ソレは一体?」というレベルでしかない。ただし、出来ることはゼロではない。繰り返すが、出来る策は全て試すことである。全てをやり尽くしたとき、最終的な自分の運命に納得し、受け入れる事が出来るようになる。という訳で、やっぱり気持ちだけはホームランを目指そう。ホームランを目指せば、少なくとも三塁打になる。最初から三塁打を目指せば、一塁打に終わる。ここではLinkedInを紹介する。LinkedInとはよくあるソーシアルネットワーキングの一つだが、ビジネス志向ということでその他(例えばFacebookなど)とは異なる。まずは登録し、プロファイルに職務経歴などを記そう。そして大学や会社の知り合いを加えて少しずつNetworkingに慣れて行こう。アメリカは日本以上にコネが重要な国なのだ。機会平等な国だと信じていた俺にとって、シリコンバレーのコネ社会には大いに驚かされたが、とにかくそういうことになっているらしい。LinkedInではJob Boardも参照出来るし、やろうと思えばリクルーターや行きたい企業のHRに直接連絡することも出来る。ちょっと敷居は高いが、やるだけやってみよう。俺の場合最終的な結果には結び付かなかったが、駄目元で試すことに価値がある。


2-2-2. 日系人材会社

 日系は米系と違って話が単純だ。米系のように百花騒乱ということもなく、数が決まっている。零細を含めれば膨大な数に上るだろうが、代表的な人材会社に登録しておくだけで十分だ。俺が登録した主なサイトは以下だ。


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1 ProXJ http://www.proxj.com 他の人材会社(QUICKUSA、OrangeTech Network、Actus Consulting、APA International Placement Consultants、Creo Consulting、TS Consulting、Pacific Advisory Service)の案件を横断して参照出来る。
2 Actus http://www.actus-usa.com
3 Career Vision America http://www.careervisionamerica.com
4 Takumi http://www.takumijob.com IT専門。
5 Pasona http://www.pasona.com 大手。他と比べると日系の比重はやや低い。
6 Teruko Weinberg http://www.twinc.com 大手。他と比べると日系の比重はやや低い。
7 TOP http://www.top-us.com シカゴでもロスでも面接に来いと言われ、行ってみたがその後連絡は無かった。
8 Professional Staffing http://www.pro-staffing-usa.com
9 Interesse http://www.iiicareer.com 希望のオープニングがなかったが企業サイドに対して逆提案してくれた。(結果的にはその後音沙汰は無かったけれど)
10 QUICKUSA http://www.919usa.com 希望のオープニングがなかったが企業サイドに対して逆提案してくれた。(結果的にはその後音沙汰は無かったけれど)
11 Interplace http://www.interplace-agency.com なんでかは知らんが超上から目線の失礼な奴が多い。最初にここから連絡があって、本来感謝すべき日系の人材会社のことが一気に嫌いになった。
12 Asian-Jobs.com http://www.asian-jobs.com 日本語に限らずアジアの言語を話すバイリンガルのためのサイトという意味で異色。人材会社でなくこれは求人サイト。直接自分で応募出来る。
13 MRJapanese http://www.mrjapanese.com サイトの品質が低い。履歴書登録画面はいつ見てもデータベースエラーになっている。。大丈夫か?
14 CFN http://www.careerforum.net お馴染みのボストンキャリアフォーラム。キャリアフェアー主催の団体であって人材会社ではない。
15 Shigotosagashi.com http://www.shigotosagashi.com ワシントン州、カリフォルニア州、オレゴン州が対象。
16 Jobba.net http://www.jobba.net
17 WorkUSA http://www.workusa.jp 日本にいる人を対象にしているようだ。

 日系の人材会社が扱っている案件の大半、80%は日本の企業である。キミにどうしても日系企業に行きたいという特別の理由がなければ、米系で勝負すべきだ。その理由は、まず第一にあなたは、日本で生まれ育った純日本人だ。だから、アメリカという地で、アメリカの会社で経験を積みたいと思って渡米して来たはずだ。そうであれば、米系の会社の体質の方が日系よりも得るものは多いものとなる。第二に米系と日系とでは給料に圧倒的な差がある。日本から駐在でやって来る人達に比べ現地採用の待遇の低さといったら驚きだ。同じスキルの仕事があったとして、日系では給料が米系の半額、ということも珍しくない。英語が下手くそなことを逆手に取られていいようにコキ使われているようにしか見えない。それは癪だろ?英語で検索したら給料2倍で日本語で検索したら半額って一体どういう論理だよ。ある日系人材会社に面接に行き、希望年収を聞かれたので100Kだと言ってみたら、そんなものは一件もない、と一蹴されて相手にされなかった。米系企業には100Kを超える仕事なんていくらでも転がっている。第三に、俺達外国人にとって、米系企業に行く方が日系に行くより難しい。ハードルが高いものと低いものがあった場合、高いものに挑戦した方がよい。高いもので勝負し続けていれば低いものも超えられる跳躍力が養われるが、最初から低いもので勝負するともう高いものは超えられなくなる。(英語での電話や面接に対する不安は俺が痛い程理解出来る。この乗り越え方は後述する。)ただしOPT保持者に取ってアメリカに滞在出来る時間には限りがある。90日間だ。だから、時間を区切ろう。俺は、米系のみでガチンコ勝負するのに一ヶ月と決め、それで埒が明かなかったら日系に手を伸ばすことに決めた。だから最初は日系の人材会社には登録しなかった。Monster.comなどの求人サイトに登録した時点で、向こうから電話がかかって来たからそれには対応したが、基本的に「あと一ヶ月くらいしたら日系検討します」と言って深く関わるのは避けた。俺が本格的に上記の日系人材会社に一気に登録したのは、丁度一ヶ月で米系企業から内定を貰った後、更に良いオファーがないかどうかを一応確認するためだった。日系人材会社に関する俺の最終的な感想を言うと、「使えない」。アメリカにある日系企業が駄目だと言っているのではない。日本の一流企業はこちらでもそれなりに一流で待遇も環境も良い。しかし彼ら大企業は体力があるから、人材会社を使わずに自分達で人を探すのだ。それも出来ない企業の案件が人材会社に降りてきて、仲介を依頼するという構図だ。日本語を使って、日本人の環境で、低待遇で働くくらいであれば日本に帰って海外駐在の道を模索した方がまだ賢いと俺は思う。


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